雨宮琴葉の高校生活とバイトです。


朔:「……ノートなくなってさ、 どれがいいと思う?」

琴葉:(本を見たまま)「……書ければ、何でも」

朔:「……そっか」

(少し間)

琴葉:「……どこの店、行くんですか」

朔:「駅前の文房具屋」

琴葉:「……ふーん」

琴葉:「……大丈夫」

琴葉:「これは私じゃなくて、仕事だから」

琴葉:「私は文房具を選ぶ人で、 言葉を渡す人 ちゃんと説明できる、 落ち着いて、順番に……」

(ウィッグを整える)

琴葉:「見た目も、声も、全部……大丈夫」

(少し間)

琴葉:「……いける」

朔:「……あの、ノート探してて」

琴葉(自然に一冊手に取る):「でしたら、こちらはいかがでしょうか」
(測量野帳を軽く見せる)

琴葉:「コクヨの測量野帳です。 元々は屋外での記録用に作られているので、
 立ったままでも書きやすいサイズと硬さになっています」

:「……立ったまま?」

琴葉:「はい。表紙がしっかりしているので、 机がない場所でも安定して書けます」

(少し間)

琴葉:「電車の中などでも、 思いついたことをすぐ書き留められるかと」

:「……あ、それ、いいかも」(少し見つめる)

:「……書きやすそうだし」

琴葉(静かに微笑む):「用途がはっきりしている方には、特におすすめです」

朔:
「昨日さ、文房具屋でノート選んでもらったんだけど」

琴葉:
「……はい」

朔:
「すごい分かりやすくてさ、
 電車でも書きやすいって言われて」

琴葉:
「……それ、私ですね」

朔:
「いやいや、全然タイプ違うし」


朔:「なんか、もっとこう…… ちゃんとしてる人だった」

琴葉:「……ちゃんとしてます」

朔:「あと、髪も赤かったし」

琴葉:「……昨日、いましたよね」

朔:「いや、見間違えないって」


朔:「でもさ、説明めちゃくちゃ上手くて」

琴葉:「……ありがとうございます」

朔:「絶対ああいう人、モテるよな」

琴葉:「……そうでもないと思います」


朔:「また行こうかなって思ってる」

琴葉:「……来ていただければ」

朔:「いや、あの人に会いにね」

琴葉:「……私です」

朔:「だから違うって」


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