高瀬硝子という観測者
高瀬硝子 です。 文章を書いています。たぶん、小説とか詩とか、そういうものです。 静かな場所が好きなので、外で書くことが多いです。 公園とか、駅の端とか、風の通るところ。 同じ言葉でも、場所で少し意味が変わる気がするので。 パソコンは、あまり使いません。 考えるより先に変換されてしまうのが、少し苦手で。 なので、タイプライターを使っています。 赤いのです。重たいけど、打つ音がちゃんと残るので。 英語の文字しか打てないので、ローマ字で書きます。 あとで漢字を足したり、切り貼りしたりします。 完成すると、ちょっと読みにくいです。 でも、そのほうが、私の文章らしい気がします。 音楽も聴きます。 でも、ずっとじゃなくて、片耳だけ。 もう片方は、風の音とか、人の足音とか、 そういうのも、文章に入れたいので。 キャスターバッグの中には、 タイプライターと、紙と、はさみと、 それから、まだ使っていない言葉が入っています。 いい音がすると、少しだけ文章が進みます。 今日は、どこで書こうかなと思っています。 これは、私のタイプライターです。 少し重たいけれど、外に連れて行きます。 言葉は、部屋より外の方が見つかることが多いので。 この子の名前は「トマト箱(ばこ)」です。 赤くて、四角くて、 持ち運ぶときの姿が、野菜の箱みたいだから。 それに、叩くと少しだけ鈍い音がして、 熟れていないトマトを並べるみたいな感触があるんです。 英語の文字しか打てないので、 ローマ字で、ことばの種を並べていきます。 あとで、漢字を足したり、切ったり、貼ったり。 トマト箱は、きれいな文章は作れません。 でも、少し青いままの言葉を そのまま置いておくのには、向いています。 カタ、カタ、と打つたびに、 まだ名前のない文章が、少しずつ並んでいきます。 今日は、風がやわらかいので、 たぶん、やさしい話になると思います。